洞斎山人日乗

ゆうがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於いて文句はないのだ。

七草粥の恐怖

 1月7日は五節句の一つ、人日。この日に刻んだ春の七草を混ぜ込んだ粥を食すると邪気が祓われ、万病に効くと言う。中国の風習が日本に持ち込まれ、今の形となったとか。中国では野菜を混ぜ込んだ羹(あつもの)であったそうな。以上wikipediaの記載の受け売り。
 クセの無いお粥という料理に、野の草独特の苦みはあっても矢張りクセの無い七種の草が混ぜ込んであるわけで、出来上がる料理も当然クセの無いものとなる。ご馳走攻めの後、このような料理で内臓に一息つかせるのも、養生のうちであろう。古人は季節とその恵みと、年中行事と健康とを上手くつなぎ合わせたものだ。ちなみに、「七草」は本来、「七種」と表記すべきものであるそうな。
 3が日以来お粥で暮らす筆者も、1月7日は七草粥をいただいた。野の草の苦みも、淡白なお粥の中にあってはアクセントとなり、おなかに心地よかった。

 しばらくして風呂に入ってびっくり。太ももに、怪しの赤い腫れ上がりがいくつも浮いているのではないか。なんとも毒々しい光景である。よく見たら上腕と肘の辺りにもいくつか赤い腫れが浮いている。とは言えかゆみがある訳でも無いので、大した事にはならんと判断し、放って置いて、風呂から上がるとすぐ寝床に着いた。
 翌朝起きたらすっかり腫れは消えていた。前の晩の七草粥の食べ残しを温めて食し、会社に出かけた。
 会社のデスクで仕事を始める。何かの拍子に腕をまくったところでぎょっとした。朝は無かった赤い腫れが幾つも浮いているではないか。便所に行って更に驚いた。太ももにも、前の晩ほどではないが、やはり赤い腫れが多数浮いているのである。

 ここに至ってようやっと気付いたが、どうやら七草粥に混ざっている何かが原因となって、ジンマシンを起こしているようなのだ。ジンマシンは初経験である。大してかゆくは無いので助かっている。

 人間、どこにどういう落とし穴が待ち受けているのだか、分らないものではある。