洞斎山人日乗

ゆうがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於いて文句はないのだ。

真似事

最近よんどころの無い事情から、農作業の真似事のほんの触りのようなことをする機会に恵まれている。
以下見聞きしたことを備忘的に記す。

○摘果は早めに、大胆に
 果物の実を太らせる為に不可欠な作業が摘果。数多く花が咲き、受粉して、実が育つ。それら皆が全て熟してしまうと、一個一個はごく小さくしか育たないし、樹にも負担がかかる。よって適当なところで、大きく育てたいモノだけを残して皆摘んでしまうことが必要になる。桃やリンゴなら、中振りの枝に一つづつ位の割合で残すことになる。日差し厳しい5月・6月の作業は仲々の重労働。
 商売モノを作る本職の人は、残した実に袋をかけたり、虫除けの網をかけたり、防虫剤を撒いたり、病害の原因となる菌を駆除する薬剤をかけたり、という具合に大変な手数をかけるそうな。国産の果物の値が、高い訳だ。

○小梅は5月に収穫を(広島県でのはなし)
 梅干の元となる梅の実に、普通の大振りなものの他に、直径が三分の一程度の小梅があることを最近初めて知った。そういえば、市販の弁当に入っている梅干なんぞは、ごく小ぶりで果肉なぞろくに水気を帯びていないものがほとんどである。あれは小梅から作った梅干であるに違いない。
 この小梅、今日収穫したのだが、すっかり熟れきってしまって、ちょっと触っただけで、樹から落ちてしまう始末。果肉は水気ををたっぷり含み、崩れかかりと言ってもいい状態。普通の果実ならこれぐらいが一番美味なのだろうが、梅干にするにはおよそ不向き。梅干は引き締まった青い梅を使って何ぼのモノであるそうだ。
 せっかく取った小梅も、エキスを取るぐらいしか、使い道は見当たらない模様。無念。
 梅干にするなら、5月中には収穫せねばならないようだ。来年の課題だ。

びわを食す
 びわを食べた。たわわに実ったびわ。皮をむくと、皮と同色のやや橙色に近い黄色の水気を帯びた果肉が表れる。食べると、少しあくがあるが、酸味の利いた味が口に広がる。思ったより旨い食べ物だった。