洞斎山人日乗

ゆうがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於いて文句はないのだ。

庵主、本への(ズレた)愛を語る(承前)

 筆者が愛した本…本と言ったって、専ら安くてお手軽文庫本ばっかりだったけど…の数々で、手にした当時はまり込み、今に至ってもまだ抜け出せないものを並べると・・・。
 ○北杜夫氏の著作 特に、どくとるマンボウ昆虫記
             どくとるマンボウ航海記
             どくとるマンボウ青春期
 ○西丸震也氏の著作 山歩き山暮らし
           動物紳士録
           山の博物誌
           山だ原始人だ幽霊だ 他
どくとるマンボウ青春期なんて、何度読み返したことか。高校生のとき買った文庫本はすっかりぼろぼろになってしまったけど、そういやあれはどこへ行ってしまったんだっけ?2代目はアパートの倉庫の中にあるはずなのだが・・・。筆者は旧制高等学校時代の北杜夫氏のごとくいかれたエネルギーに満ちた青春をすごしたいものだと希求した。そこで小汚い4畳半に住いして、その4条半に「観梅庵」なる名を与え、得々としていた。が、さてその暮らしっぷりがイカレたエネルギーに満ち溢れていたかと言えば、イカレていたとは言えそうだが、エネルギーに満ち溢れていたとは言いがたいようにだった。単に怠惰に暮らしていただけ、というのが真相のようであり、どうも我が大学時代は、色々な意味で空振りの連続であったと思わざるを得ない。単にそれまでが余りにも自覚に欠け過ぎていただけ、と言える気もするが…。
(この項続く)