洞斎山人日乗

ゆうがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於いて文句はないのだ。

出張

 大阪に行く。
 帰りに時間があったので堂島のジュンク堂に行ってみた。アバンセ堂島の2階・3階を占める、べらぼうにでかい書店だ。
 2階は文庫・新書で埋まっている。恐るべき量の新品の本を前に、たじろぐ。この世の中のには腐るほどの物事が転がっており、その一部を何とか言葉として形にして取りまとめたのが、あの山なす本共なのだ。あの本土もにしたって、この世の一部を切り取った断面のそのまた一部にしか過ぎない。断面はいかようにも取れてしまう。
 それでも人はこの世の真実とやらを知ろうとしてか、あるいはその気が無くとも、自分なりの流儀でこの世とぶつかり、一部の者はその成果を言葉にして本として世に送ろうとする。
 人間の偉大さと矮小さと、人の営みの強固さと儚さとが同居するのが巨大書店。圧倒されつつも、切ないなあとも感じる。